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これまで以上に改良

プラスチック製燃料タンクは、今日、自動車、オートバイ、クルーザーや他の船の標準装備だけでなく、燃焼機関で作動する様々な機械(芝刈り機、リーフブロワー、携帯用発電機など)にも使用されています。プラスチック製燃料タンクは、多くの利点を備えていますが、ほとんどの素材がガソリンの気化を完全に防ぐことはできません。

 

多くの利点

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プラスチック製燃料タンクは、設計者に大変評判が高く、それには、幾つかの理由があります。まず第一に、プラスチック製タンクは、ほぼあらゆる形状を作ることができ、周辺部品に完全に統合することができます。さらに、プラスチックタンクの製造は、メタル製のタンクのような複雑な溶接の継ぎ目がなく、より廉価生産が可能です。また、プラスチック製タンクは、通常、軽量なため、オートバイや芝刈り機などの運転・操作がしやすくします。さらに、プラスチックは錆びないということも重要な利点です。

1つの小さな欠点

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プラスチック製タンクには、完全なガスバリア性(気体不透過性)を有していないという1つの小さな欠点があります。自動車の下にガソリンの溜まりが出来るほどの漏れの恐れはありませんが、プラスチック製燃料タンクは、ガソリンの緩やかな気化を防ぐことができません。これは、透過現象と呼ばれ、ポリマーの高分子構造が要因となります。この透過によって、炭化水素のかなりの量が大気に放出されます。

これが、米国環境保護庁(EPA)が、オートバイ或はガソリンエンジンで駆動する他の小装置のプラスチック製タンクから漏出するガスの最大許容透過限度を 引き下げた理由です。 最大許容限度は、現在、1日あたり、タンク内部表面1m2につき1.5グラムです(g/m2/d)。国連欧州経済委員会は、EPAに続いて、オートバイ向 けプラスチック製燃料タンクの最大許容限度を大幅に引き下げる予定です。

 高性能ポリマーがガスの透過を防ぐ

Start_Tanks従って、ランクセスは、ガソリンの気化に対して高い不透過性を備えたいくつかの高性能ポリマーを開発しています。その1例として、新しいプラスチック「デュレタン® (Durethan®)BC 550 Z DUSXBL」が挙げられます。「ポリアミド6は、透過を大変効果的に抑制します。この使用により、米国環境保護庁が実施するオートバイのタンクに対する、より厳しい最大許容範囲をはるかに下回ることができます。同時に、高い衝撃強度を備えます。つまり、同素材で製造されたタンクは、優れた耐衝撃性を確保します。」とランクセスの開発エンジニアであるMaik Schulteは説明します。何よりもまず、この素材は、高密度のポリエチレンの最適な代替となります。ポリエチレンは、今も、ガソリンエンジン向けの多くの燃料タンクを製造する際に使用されています。

高密度ポリエチレンは、その透過性特性のため、オートバイのタンクに対する、一層厳しくなる最大許容限度に準拠することが困難となっています。フッ素化を施すことにより、高密度ポリエチレンタンクの炭化水素に対する透過性を抑制することができます。しかし、フッ素は、非常に腐食性が高いため、この追加の製造段階が複雑となり、コストもかかります。

ランクセスが新しく開発したこの高性能ポリマーは、アルミニウム、鋼板、多層構造プラスチック複合材等のタンク素材と比べても、多くの優位性を提供します。

単一製造プロセス

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新ポリアミド6は、一般的にブロー成形と呼ばれるプロセスによってタンクに形成されます。 ブロー成形にはシーリングに追加の素材を必要としないため、 ポリアミド6による優れた単一素材ソリューションとなります。この新素材は、ガスバリア性のEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)との多層構造プラスチック複合材で製造されたタンクに比べても、コスト効果の高い代替品となります。多層構造プラスチック複合材の複合層は、高度な技術が要求され、比較的コスト高のプロセスでラミネート加工されます。

鋼板及びアルミニウムと比較すると、ポリアミド6は、タンクの複雑な形状をつくる際も、デザインの自由度を大幅に向上します。同様に、取り付け部などの部品を直接タンクに統合することができ、これがその後の組立を容易にします。そして、鋼板とは異なり、成形、パンチング、溶接などの過程を必要としないため、コスト削減に貢献します。

バイオ燃料に最適

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また、重要なことですが、この新素材を使用することで、今世紀の緊急課題の1つに対するソリューションを提供することができます。
つまり、再生可能な素材から製造された燃料をより多く活用することで、化石燃料への依存を低減させることができます。

ランクセスでは、この新しいポリアミド6が、バイオ燃料に使用されるエタノールの濃度に適合することを確実にしています。実際、初期研究においても、ポリアミド6は、85%のエタノール濃度のガソリンに対して適切であることを示しています。Schulteは次のように述べています。「ランクセスの新しいポリアミド製タンクは、E85燃料に対する耐性があると見ています。

特にアルミニウムと異なり、可塑剤フリー及び非強化の熱可塑性樹脂「デュレタンBC550 Z DUSXBL」は、エタノール系バイオ燃料に影響を受けないという利点があります。エタノールは親水性があり、内壁に保護塗装が施されていないアルミニウムタンクは腐食しやすいのです。この腐食により発生する錆がエンジンおよびその関連部分にダメージを与えます。

さらに、この新素材は、船用燃料タンクの製造に、よく使用されているデュロプラスチック複合材の適切な代替品です。こういった複合材と異なり、ポリマー母材はエタノールによって溶解しません。従って、「デュレタンBC550 Z DUSXBL」を使用することで、インテークバルブに堆積物が蓄積しないため、エンジンへのダメージの恐れがありません。