吸血動物から身を守る効果的な方法
温暖な気候を喜んでいるのは日光浴好きの人だけではありません。蚊やマダニなどの吸血性節足動物もこの時期の気候に大喜びしているのです。ドイツのライプニッツ農業景観研究センター(ZALF)によると、これらの虫に刺される危険性は高まっており、温暖な初夏の気候により発生する、蚊が媒介する伝染病への注意を呼びかけています。国立動物健康研究所(FLI)では、ジカウイルスを伝染させるアジアの危険なヒトスジシマカの生息域の広がりを2015年の夏から記録しています。ヒトスジシマカはすでに約70カ国で確認されています。また、ロベルト・コッホ研究所は、この数年で危険なダニを媒介とした脳炎の症例が増加したと報告しています。また、日本においても、国立感染症研究所が今年4月にジカウイルス感染症を含む「デング熱・チクングニア熱等蚊媒介による感染症の対応・対策の手引き」を更新するとともに、厚生労働省は地方公共団体などに感染症予防への対策を呼び掛けています。
このため、適切な虫よけ剤を選択し、このような吸血性の害虫から効果的に身を守ることは、以前にも増して重要になってきています。Autan(ドイツの消費者向け雑誌『Stiftung Warentest』の2017年5月の調査で1位)などの極めて効果的な虫よけ剤には、活性成分イカリジンという成分が共通して配合されています。また、日本においても、2015年2月に厚生労働省よりイカリジンを有効成分とする虫よけ剤の認可が下りたことにより、2016年に国内での販売を開始しています。大日本除虫菊株式会社(KINCHO、本社:大阪府大阪市)およびフマキラー株式会社(本社:東京都千代田区)に採用され、国内で販売される虫よけ剤への出荷を開始しています。この成分は、特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)の子会社サルティゴが製造しており、「サルチジン®(Saltidin®)」のブランド名で販売しています。サルチジンの膨大な需要に応えるため、サルティゴは昨年、生産能力を50%増強しました。この有効成分はドイツのレバクーゼンとドルマーゲンで製造され、世界各国で販売されています。
サルチジンの作用は極めてシンプルです。サルティゴのマーケティング&セールス責任者のアンドレアス・クラインは次のように説明しています。「吸血性節足動物は、ヒトが吐き出した二酸化炭素やヒトの体の特殊な臭いのパターンを感知して宿主を見つけます。サルチジンを使用した虫よけ剤は皮膚に保護層を形成し、ヒト特有の臭いをマスキングするため、マダニや蚊が引き付けられなくなります」
優れた皮膚耐性と有効性
『Stiftung Warentest』の検査担当者は、サルチジンを含む虫よけ剤の優れた皮膚耐性についても確認しました。アレルギー反応はほとんどありません。また、サングラスや時計などのプラスチック製品に対するダメージもありません。Autanの他にも、テストを実施した製品のうち4つがサルチジンを含むものでした。
製品の成分配合や蚊の種類にもよりますが、サルチジンを含むローションやスプレーを使用すると、8時間から12時間の保護効果があり、夜安心して眠れるようにするにも十分な時間です。マダニなら6時間から14時間、サシバエでも最長10時間は寄せ付けません。但し、汗をよくかく人は早めに塗り直すことをお勧めします。また、ほとんどの虫よけ剤の耐水性には限度がありますので、シャワーの後や泳いだ後にも塗り直しをお勧めします。薄く目の粗い繊維は、害虫が通り抜けることができてしまうため、そのような素材の衣服を着用の際もローションやスプレーのご使用をお勧めします。
その他の保護方法
- 明るい色の服を着用しましょう ― 夕暮れや夜に活発になる蚊は暗い色の服に引き寄せられます。また、明るい色の服を着用すれば、害虫が這うのを簡単に見つけることができます。
- ドアや窓に目の細かい網戸があると、蚊の侵入を防止できます。休暇中にはファスナー付きのポータブル網戸を利用することができます。
- ベッドの周りに蚊帳を設置すればトコジラミなどの害虫を防ぐことができます。熱帯地域では網目は大きくても1.2 mm、北方の地域では2 mm以下で十分です。
- 虫は暖かい部屋を好むので、可能であれば、就寝前約2時間、エアコンで部屋を涼しくすることをお勧めします。
- 天水桶に蓋をし、バードバスを10日ごとに洗い、産卵場所をなくすようにします。メスの蚊はよどんだ水に卵を産みつけます。
- 虫よけ剤を使いましょう。
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