遊園地には欠かせないジェットコースター。それを楽しみにしている人はたくさんいますが、そうでない人にとっては、見ただけで気分が悪くなってしまうような乗り物かもしれません。それもそのはず、世界最速のジェットコースターは狭いレールの上を最高速度200 kmを超えるスピードで走り回り、速度の遅いタイプでも優に時速100 kmを超えます。このスピードのおかげで、乗客は最高のスリルを楽しみ、アドレナリンを急増させるのです。
必ずレールの上に
コースターの下にある車台部分は、車体がこの鉄のモンスターがレール上を、常に安全に走行できるように支えています。一般的に、1つの車軸に対して3組の車輪(走行車輪、側車輪、浮き上がり防止車輪)で構成されています。また、多くの場合車輪は双輪です。3つのうち一番大きなものは走行車輪で、レール上での車両の走行を保持しています。車両の側面に取り付けられている側車輪は、レールの曲がりくねった部分で脱線しないよう保っています。浮き上がり防止車輪は、下からレールをしっかりつかみ、車両が浮き上がらないようにしています。このように、各車両はすべての方向からレールに固定されているのです。
過酷な条件にも耐えられる素材
最新の高速ジェットコースターの車輪には大きな力がかかるため、ポリウレタン製のタイヤが取り付けられています。ポリウレタンは汎用性のあるエラストマー材料で、ジェットコースターやローラースケートの車輪、ゴルフボール、その他の高性能レクリエーション装置に強度と耐久性を与えます。ウレタン材料は耐摩耗性、ならびに、耐切創性、耐引裂性、耐熱性を備えています。ランクセスのウレタン製品は過酷な条件にも耐えられるよう設計されており、これらの用途で並外れた動的性質を提供しています。この特殊エラストマーは、アディプリーン(ADIPRENE®)、バイブラセン(VIBRATHANE®、ウレタンポリマー)、ウルトララスト(ULTRALAST®、ウレタン系熱可塑性エラストマー、TPU)のブランド名で販売されています。#
熱硬化性ポリウレタンは、変形時にほとんどエネルギーを吸収しないように作ることができるため、熱の発生はわずかです(低ヒステリシス)。これにより、タイヤが高温になるのを防ぎます。熱の発生が少ないタイヤ材料は、高い負荷やスピードにも耐えることができるのです。
また、熱硬化性ポリウレタンは、より硬いエラストマーを作るために使用できるという点で、メリットがあります。つまり、同等の負荷をかけても他のエラストマーよりも変形しません。硬度の低いエラストマーは、大きな負荷で繰り返し変形させると、高い負荷をかけた時に損傷することがあります。
ランクセスのウレタンシステムズビジネスユニット、北米テクニカルサービスおよび開発ディレクター、トム・ピーターは、次のように述べています。「ヒステリシスの向上とエネルギー損失の低下は、走行抵抗の低減を意味します。これは、ジェットコースター、ローラースケート、いずれの車輪にとっても重要な要因となります」。
全体的に見て、熱硬化性ポリウレタンの特性は一体車輪の市場のニーズによく適合しています。熱硬化性ポリウレタンの進歩と向上は、エネルギー損失の低減、耐摩耗性、耐クラック性、高温特性を実現する特殊で価値の高い製品を生み出し、高性能車輪用途における高度なニーズに応えます。
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