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次世代の駆動方式

次世代の車技術に期待! 自動車の発明者であるゴットリープ・ダイムラーもカール・ベンツも、わずか1世紀あまりで道路交通の急速な発展によってもたらされるここまでの影響を夢にも思わなかったことでしょう。一方で、内燃機関が今後、数十年の間に、駆動の手段としての役割を終えていくのはますます明確となっています。そして、未来は電気駆動に期待が寄せられています。

長年の実績ある技術、主流でなくなる日が近づいている

ガソリンとディーゼル燃料は高価な燃料です。なぜなら、石油会社の価格政策の影響だけでなく、需要と供給という避けがたい法則が働いているからです。一方で、世界の自動車台数は10億台に達し、さらに増加し続けています。2012年には、中国だけでも1,300万台の新車が販売されました。道路交通の専門家によると、2050年までに世界の自動車台数は約25億台にものぼると推測されています。このような背景において、地球の原油埋蔵量があとどれ程残っているのかは誰にも予測できません。ただ確実なことは、化石燃料は限られた資源であり、採取することはますます複雑化しており、今後も高価になっていくということです。また、これまでと同様に化石燃料を車で燃焼することで有毒物質が排出され、環境汚染となります。

Antriebe_neu1886年、自動車開発のパイオニアであるゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがエンジン付き四輪車を初めて開発しました。その時には、わずか1世紀あまりで道路交通の急速な発展が及ぼす影響を夢にも思わなかったことでしょう。しかし、今後数十年間の内に、駆動の手段として内燃機関が過去のことになるのは明確となってきています。

 

政治家、道路交通の専門家、そして未来学者のビジョンは、少なくとも、有害物質を発生せずに(この自動車を駆動させる電気の生産工程において発生する二酸化炭素は別にして)走るゼロエミッション車に向けられています。これを実現するには、自動車の駆動システムを完全に電動化するしかありません。この実現過程における中間技術の1つとして、従来の内燃機関と電気駆動システムを組み合わせた、いわゆるハイブリッド車があります。

ガソリンとディーゼル燃料 – 今も大きな役割を果たす

 120年以上にわたって継続的に開発されてきた典型的な内燃機関(ガソリンとディーゼル燃料タイプ両方)は、他の機械類以上に徹底的に研究され多くの用途に使用されています。それにも関わらず、有数の自動車メーカーは、最大限の可能性を実現するにはまだまだ長い道のりであると考えています。例えば、ディーゼルエンジンにおける燃料噴射はエンジンの作動上、重要な部分の1つですが、ガソリンエンジンへの導入は比較的最近のことなのです。エンジンの開発者は、業界では「往復ピストン機関」という呼び方で知られている内燃機関の最大の性能を得るために、ターボーチャージャー、電子点火システム、エンジン管理装置、調整可能なカムシャフト、自動アイドリング・ストップシステム等において様々な工夫をしてきました。

Foto3_Antriebe_neuしかしながら、あらゆる技術的な改良を駆使しても、内燃機関の1つの大きな問題は解決することができません。それは燃料によってもたらされるエネルギーのわずか40%未満しか機械エネルギーに変換することができないことです。それ以外にも、駆動系(トランスミッション、カーダンシャフト、タイヤ)におけるロス、そしてウォーターポンプやオルタネータ等の補助装置におけるロス等、様々なロスが発生します。

しかし、この様々な取り組みは、燃費効率を上げるためだけではありません。かつてから、各国当局は自動車メーカーの平均排出量規制を厳しく制限してきましたが、排気ガスの構成物質において特に二酸化炭素の排出量が注目されています。1993年に導入されたユーロ1(欧州連合の排気ガス規制)に準拠するために、80年代半ばに導入されたラムダコントロールによる三元触媒コンバータは飛躍的な進歩をもたらしました。2014年9月1日付けで施行されたユーロ6規制によって、今まで徐々に厳しくなっていた排出量制限は、より厳しくなります。しかしながら、一番環境に優しい自動車であっても、排気がゼロとは言えません。

 将来は電気自動車に

Alternative Drives今後も、駆動手段の主流となるのは、ガソリンやディーゼルエンジン、あるいは、それらと同質の構造で、天然ガス、液体ガス、又はエタノール等のバイオ燃料を燃料とするエンジンです。そうは言っても、電気駆動が存在感を示すのは時間の問題です。モビリティの進化が本格的に始まっています。現在のところ、大衆の交通手段としての完全な電気自動車は、まだまだ夢のような話です。その理由は幾つかあり、またエンジンのコンセプトによっても異なります。一つの理由として、エネルギーを蓄積する電池を使う自動車は、車両重量が増加するため、現在の車のドライバーが求める走行距離を遥かに下回ります。さらに、比較的長い充電時間とその充電設備の不足も大きな課題となっています。これらの不利な点をクリアする方法として、エネルギー変換機として燃料電池が搭載された自動車が挙げられます。水素で充填した自動車は、数百キロメートルの走行距離が可能になります。そして、水素ガスのエネルギー密度は、最大700バールと非常に高いため、運転性能は現在の技術と比べても遜色がなく、むしろ逆に性能向上の場合もあります。

現在燃料電池は非常に高価ですが、大量生産が始まると、この問題は解決されることでしょう。現在における最大の壁は、インフラが整っていないことです。例えば、ドイツ全域においても水素スタンドは十数カ所程度しか設置されていません。これを見ると、水素燃料自動車はまだ研究段階にあるといえるでしょう。これらの様々な取り組みを通して、どの(自動車の駆動系)システム及びどの技術が主流になるかが明らかになるまで、自動車産業は、しばらくハイブリッド自動車に注力するでしょう。ハイブリッド自動車とは、内燃機関と電気モータ両方が搭載された自動車です。これらのどちらが主要駆動源でどちらが補助的役割(定期的に駆動サポートとして作動)かは、その駆動コンセプトによります。

電気が未来の駆動手段

 電気自動車は、私たちが馴染みのある現在の自動車との共通点はあまりありません。もちろん、両方の主な役割は、時刻表や決まったルートに頼ることなく人や物を目的地まで運ぶことです。現在の車と同様に、未来の自動車には座席やハンドル、ブレーキペダルなどが装備された運転席がありますが、類似点はそれくらいです。駆動系は電気のみで動き、ほとんど音がしません。

従っFoto5_Antreibe_neuて、機械がぎっしり詰まっているエンジンルームはもはや必要とされません。さらに、各ホイールの上または中に理想的に搭載された電気モータは、今日の自動車のように走行条件に合わせて最適な回転数を選択するギアボックスを必要としません。そして、これらのモータが、ブレーキの時に発生する運動エネルギーを電気に変換し、この電気を電池とスーパーキャパシタに保存します。従来の駆動技術とその様々なオプションに代わって、未来の自動車には周波数変換機、高圧電源システム、高効率バッテリ、燃料電池、水素タンクが搭載されています。上記の装置すべては従来からある技術であり、これらによって、メーカーは全く新しいレイアウトを自由自在に設計できるのです。特殊化学品グループのランクセスでは、自動車の車体部品を製造するための軽量化材料や低燃費タイヤを生産するための高性能ゴムなど、多岐にわたる「グリーンモビリティ」用途向けの幅広い製品を提供しています。電源ケーブルの絶縁に適したポリマー、接続栓、コンセント、電子筐体向けの難燃性ハイテクプラスチック、そして、バッテリーターミナル向けの特殊顔料は、ランクセスの製品ポートフォリオのほんの一部にすぎません。

全国的な充電スタンドだけでなく効率的なインフラが整うのは、まだ20〜30年先のことです。そして環境配慮の視点から、風力発電や太陽光発電などの再生可能なエネルギーによって作られなければ、水素が真の意味の「クリーンエネルギー」とは言えません。さらに、再生可能エネルギーの供給は、本来不安定であるため、効果的な保存技術が必要となります。このようなことが実現することで、再生可能エネルギーによる水素の製造は理想的な解決策となります。

化石燃料に全く頼らないゼロ排出のモビリティは、まだかなり先の話です。将来、このビジョンを実現するためにも、多大な開発と革新が必要となります。しかし、有名なことわざ通り、「ローマは一日にして成らず」。一歩一歩、ランクセスはこの進歩に貢献しています