着色コンクリートによる完璧な意匠を実現した博物館
フランス人の建築家リュディ・リチオッティ氏が、2017年度のカラーコンクリート・ワークス・アワード最優秀賞を受賞しました。ランクセスは2012年よりこのアワードを主催し、着色コンクリートを使用した建築とその建築家を表彰しています。リチオッティ氏(54歳)が手掛けた建築プロジェクト「Musée des Civilisations de l’Europe et de la Méditerranée(MuCEM、ヨーロッパ地中海文明博物館)」は世界中から多くの人々が訪れる、フランス屈指の壮観な博物館であるとして最優秀賞を受賞しました。フランス南部のマルセイユに位置するこの建物には、総量1,100立方メートルのコンクリート(既製コンクリートスラブ形状)および250立方メートルの現場打ちコンクリートが使われています。このコンクリートのダークグレーの色相を実現したのが、ランクセスの黒色酸化鉄顔料「バイフェロックス®(Bayferrox®)330」および「バイフェロックス® 318」です。
個性的な建築
審査員たちは、建物の機能性と色の両方に感銘を受けました。MuCEMを覆う軽やかなメッシュ状のコンクリート構造は、プロヴァンスの陽光をふんだんに取り込み、光を利用した独特の効果を生み出しています。リチオッティ氏は建築資材に意図的に黒色のコンクリートを採用しました。MuCEMはマルセイユの文化的、歴史的中心である旧港の外れに位置しており、MuCEMのダークな色相は、歴史あるサン・ジャン要塞のベージュと見事なコントラストを描き出しています。こうした歴史的に重要なロケーションにおいて、リチオッティ氏の建築は、きっちりとした正方形の形状と水平な外形によって、独自の存在感を打ち出しています。
優れた耐候性
リチオッティ氏には、サン・ジャン要塞と対立することなく、自身の特徴的な建物を周囲から際立たせることを重要視しました。それと同時に、湿度の高い、塩気を含む海風という環境下においても、その見た目や表面のテクスチャの、長期にわたる持続性にも配慮しました。
これは単に塗料でコーティングするだけでは実現できません。そこでリチオッティ氏は、ランクセスの「バイフェロックス330」および「バイフェロックス318」顔料を使って、コンクリート全体を着色することにしました。この製品は、着色持続性と耐候性に優れており、コンクリートと同様に100年以上の耐久性があります。超高強度のコンクリートでつくられたクモの巣状の構造は、空気のような軽やかさを表現しながら、頑丈な耐久性を兼ね備えています。
伝統とモダンの共存
リチオッティ氏はまた、環境への影響を最小限に抑えることも重要視し、移動距離を短くするために、プレハブ床版と384枚のパネルすべてを建設現場近くで製造、準備しました。さらに地元の加工業者や職人を雇い、建設現場での一体感を深めました。
「つまり、『ヨーロッパ地中海文明博物館』は、伝統と現代の共生のシンボルとなるのです。同時に、美しさと機能性をも融合させています」と、無機顔料(IPG)ビジネスユニットの責任者であるヨーク・ヘルヴィッグは述べています。「我々のカラーコンクリート・ワークスの取り組みで、こうした独自性の高い建築を称え表彰することで、着色コンクリートの有用性をアピールしていきたいと考えています」
建築家でありエンジニアでもあるリュディ・リチオッティ氏は数々の賞を受賞しており、その中には2006年の「Grand Prix national de l’Architecture」も含まれます。エクス=アン=プロヴァンスにあるナショナル・コレオグラフィック・センター、「Potsdamer Nikolaisaal」コンサートホール、「Footbridge of Peace in Seoul」、リエージュのインターナショナル・センター・オブ・アート・アンド・カルチャーなど、大規模なプロジェクトを多数手掛け、国際的な建築家としての地位を確立しています。
カラーコンクリート・ワークス-現代建築におけるカラーデザインの実例
ランクセスは世界最大の酸化鉄顔料メーカーであり、酸化クロム顔料の大手メーカーでもあります。これらの顔料は、着色建築材料、塗料・コーティング材料、プラスチック・紙など幅広い着色用途において、数十年間にわたり使用されています。
その他の採用事例及びカラーコンクリートの詳細についてはccw.lanxess.co.jpご覧ください。